月兎社のモト
by calico5
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高貴なる魂と、その破滅。
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ディネーセン「七つのゴシック物語」を2分冊にした「夢みる人びと」[amazon]「ピサへの道」[amazon]読了。7編とも19世紀を舞台としていることに少々とまどいつつ、でも物語を堪能。あきれたことにこれらはすべて、高貴な魂が自分から清々しく無意味に破滅しちゃう物語なんである。…時代錯誤的にロマネスクな美青年や大柄な美女や詩人や顧問官の老人が登場し、破滅の一瞬へと物語は進行していくわけだけど、つねにクスリと笑いを秘めているあたりがここちよく、独特の筆致があります。でもこんなくだり、「…夜眠ろうとなさるなら、よく人が言うように、門をとおってゆく羊やラクダの長い列をかぞえたりしてはなりません。列は一方向に進みますから、あなたの思いもそれにつられてゆきます。そんなことはやめて、深い井戸のことを考えてごらんなさい。その井戸の底の中心から、水が湧き出しているところを想像するのです。水はちょうど星の光のように、あらゆる方向に向けて湧き流れてゆきます。その水の動きに心をあわせ、一方向にかぎらず、当分に、すべての方向に心を向けることができれば、やがて眠りにおちてゆくでしょう。でも、それをあんまり徹底してやると、さっきお話したコーヒーの木が、地表近くに張った細根のおかげで弱るのとおなじように、あなたも死ぬことになるでしょうが」。…やっぱりこのディネーセンっていうひとは、とことん虚無的な女だなあと、「アフリカの日々」の女領主がますます愛しく想われるのでありました。
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平行して読んでたのが莫言の「白檀の刑」[amazon]。こちらはディネーセンとは対極的に五感を脅かす代物。匂いも臭いも痛みも強烈。こちらも「西欧列強が入り込んで鉄道をしこうとしている高密県の清朝知事」や「西太后に謁見をゆるされた超一級の処刑人」なんて存在自体がアナクロニズムに陥っちゃってるひとたちを主人公に据え、架空の大衆演劇・猫腔の語り口で進められる多声の口承文学、なんていうあざとい設定なんだけど、いやさすがに上巻の、小片ずつ肉を削ぎ切り500刃目で死に至らしめる「陵遅(りょうち)の刑」を美青年反逆者、美女遊妓に施す処刑人の語り…「わしの耳元では片時も途切れることなく、あの女の歌うとも泣くともつかぬ呻吟と悲鳴とがたゆたい、わしの鼻にはあの女の躰の肉が切り刻まれるときに発するうっとりさせられる匂いが絶えず漂うておる」…、下巻の「白檀の刑」に処せられる師匠のもとに参じて彼を送る一世一代の謡いをおこなう猫腔役者たちの場面はおそろしい迫力でした。ゾクゾク・ニャオニャオ。
by calico5 | 2008-03-27 01:45 | 本・映画・展覧会
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