月兎社のモト
by calico5
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ジ・エンド・オブ・ザ・ゲーム。
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ピーター・ビアードの「ジ・エンド・オブ・ザ・ゲーム」[amazon]読了。ビアードは1936年生まれ。アメリカ東部エスタブリッシュメントの出で、16歳でディネーセン「アフリカの日々」[amazon]に感激、19歳ではじめてアフリカに行き、のちにデンマークのディネーセンを訪ねてる。1961年にイエール大学を卒業し、ケニアに移住。ハンサムで、野蛮で、ウォーホールやミック・ジャガーと親交の深いセレブリティで…といろんな伝説のあるお人ですが(くわしくはコチラ[LINK])、この本は「大狩猟時代」から隔離保護によって野生動物たちが死に絶えていく現代までを、自ら撮った写真と、19世紀末の歴史的写真、イラストレーション、手書きによるテキスト、活字によるテキストを等価に扱った超絶エディトリアル・ワークで見せる、奇書といってもいいような本。こういう<本>の作り上げ方、ものの伝え方ってあるんだと、すごく刺激的です。(これをそのままちゃんと日本版に移し替えた往年のリブロポートはやっぱすげえ)。
ガキのころ原書を友人にもらって(アリガトー!)、空から撮ったゾウの亡骸の写真が延々と続く終盤をよくながめていたんだけど、今回翻訳を図書館から借りてきて読みました。この本の描くアフリカ20世紀史は、英雄的ハンターたちが悪魔的人喰いライオンたちと壮絶な命のやりとりをしていた大狩猟時代から、鉄道がひかれ、ハンターたちが車で移動し、区画整理され、狭く囲まれた土地に<保護>された野生動物たちが頭数の飽和により飢餓死してゆくまで、「白人侵入のパラドクス」に満ちたものです。
大狩猟時代のハンターたちの肖像はとても興味深い。彼らはヨーロッパの王族やアメリカの大富豪たちのハンティング・ツアーを企画・進行させ、多いときには250人もの大隊を編成するというビジネスをおこなってた由。ディネーセンの恋人デニス・フィンチ・ハットンもそういったハンターのひとり。ハンナ・アレントの「暗い時代の人々」[amazon]の「アイザック・ディネセン」の章が「かれらは第一次大戦が生み出した若者の世代に属しており、かれらは因習に耐えて日常生活の義務をやりとげていくことや、気も狂わんばかりに退屈させていた社会のなかで出世を求めたり、役割を果たしたりすることに永遠に適応しえなくなっていた」「いずれの場合にもかれらは<追放者>や<逃亡者>であることを望んだのであり、定着して家族を築くことよりも、むしろ<自分たちのわがままの報いを受ける>十分な覚悟ができていた。」と評したような人たちです。
…20世紀後半、区画をつくってしまった以上、区画内の頭数を減らすしかないということでビアードらがおこなう「ゲーム・コントロール」という名のハンティングを著述した章は、大狩猟時代の章に立ち返る生命のやりとりを描き、アフリカに魅了されるってことの恍惚と恐怖を伝えるものになっているけれど、アフリカが汲めどもつきぬ野生と命の宝庫だった時代はとうに終わってしまってるんである。
アフリカについてあんまりにも無知なので何も言えないけど、西江先生の解説、「彼(ビアード)の作品(写真)は、基本的には<生き物は、「生きている物」である>ということ、この事実は現在と同様に未来も変わらないものであることを、わたし達に告げているように思う。それは<姿>の複写ではなくて<命>の映像化なのである。…略…大自然という背景の中での動物の在り方そのものが、大きな表現力をもって持って見る者に迫ってくる。特定の人物の前で見せる特定のライオンや象やサイなどの表情ではなくて、種としてのライオンや象やサイの存在そのものが見せる命の表情を、生と死の両面から見出しているのである。/他方、ピーター・ビアードが撮る人間の写真の方は、個々の人物への私的な想いが充分に込められたものである。それは人類の写真ではなくて、彼と同様に生き物の命に深く関わった彼の個人的な知人たちの私的な表情なのである。/直接的な感情から距離を置いて見ている動物と、共感の中で一体化している彼の友人たち。種としての表情と私的な表情、この両者の組み合わせが、自然界における野生の命と人間の生活との関係を絶妙に浮き立たす。」に頷首。

ついでにビアードの「ダイアリー」(リブロポート、1993)も借りてきました。ビアードはおそるべきコラージュ・ダイアリストとしても知られているわけだけど、これは何というか…。攻撃的なエロス&タナトス炸裂でかなりキテイル(笑)。そーだろう、そーだろうと思いつつ、ついついページのはじっこ持ってめくっちゃう。だってコワイんだもん(笑)。けっきょくビアードってひとはまだよくわかんない。ここまできたから「ピーター・ビアードの冒険―優雅で野蛮な芸術家の半生」[amazon]も読んでみようかな。
by calico5 | 2008-05-06 01:59 | 本・映画・展覧会
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