月兎社のモト
by calico5
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ここでやっと、さよならと言える場所をみつけた。
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今月はずっとこの建築家ドキュメンタリーのDVDを借りてみてました[amazon]。でもこれは普通のドキュメンタリーではなくって、そのはじまりはこう。図書館のマイクロフィルムで建築家の死亡記事を調べる青年(ちょっととうがたってるけど)のモノローグ、「<…インドでの大プロジェクトの打ち合わせから帰国したペンシルバニア駅の地下トイレで心臓発作により死亡。パスポートの自宅住所が抹消されていたため、遺体は身元不明者として安置所に3日置かれたまま。ほとんど破産状態であった。遺族は夫人と娘ひとり>。…僕は思わず記事の中に自分の名前を探した」。そう、これは妻以外のふたりの女性の間にそれぞれ娘と息子を残すという複雑な私生活をおくった「最後の巨匠」[LINK]の息子ナサニエルが、自分が11歳のときに不慮の死を遂げた父の建築と、父と交錯した人々を訪ねて自ら撮ったロード・ムービーなんでした。
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このフィルム、好きだなー。まずナサニエルが好きだ。大好きな友人のKにどこか似ている。一見温厚な文系青年ふうなんだけど、じつはかなり強靱な知性と、独特の言語世界と、風変わりなユーモア感覚をもってて、Kに会うとなんでかポール・サイモンの「僕とフリオと校庭で」と「ダンカン」が頭に流れてくる(笑)[amazon]
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建築ももちろんすばらしい。ことにソーク生物学研究所。
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助手だったマカリスター氏(このひともいいんだ)と話したあと、「ここで、はじめて父にふれた気がした」と独白し、中庭をローラースケートで走り回るナサニエル(おいおい・笑。バック・ミュージックはニール・ヤング)。とうとつかもしんないけど、これがいいんだよ。無人のソーク生物学研究所中庭はモニュメンタルで崇高。だけどナサニエルは子どもを登場させる。ちっちゃい子を、中庭の中心を貫く水路をまたいで立たせて、小鳥みたいに飛び跳ねさせる。それで観る者に、え、この水路ってこんなに細いんだ、って思わせる。そして次にナサニエル本人が、ローラースケートで水路をなんども跳び越えながら、中庭じゅうを、父にふれたよろこびをほのめかしつつ?のびのびと走り回る。それで、この研究所が、モニュメンタルで高い精神性をもっていても同時に、居心地のいい、インティメントな空間であることが判るんだ。やるな!ナサニエル。
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そして圧巻はバングラディッシュ国会議事堂。田んぼの真ん中に建つ古代遺跡のような、真にモニュメンタルな建築物。当時いっしょに仕事したバングラディッシュの人が、映画の中でこの議事堂に割かれる時間が10分だときくと、眉をひそめ、真剣に語り出す、「この建物が10分?そんな態度では何も捉えることができない。この田んぼ以外なにもない国に巨大な国会議事堂を建てる…あなたのお父さんは誰もが不可能だと言ったことに取り組んでくれた。…彼は使命を担ってくれたんです。感謝してる。我々を愛してくれたんです。あなたへの愛と少し違い、我々をきちんと愛してくれた。ここが大事だ。わかってもらいたい」。25年以上も前にともに仕事した父のことを目に涙をためながら語る人の気迫にたじろぎながら、やがて微笑み、立ち去るナサニエル、そして議事堂から遠ざかる水路を進む小舟のうえで、父の実像にふれたと確信し、自分自身の望んだ人生を生きた父への赦しの言葉をつぶやく、「生きていて、いま会えたらと思う。…ここではじめて「さよなら」という時と場所を見つけた」。
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そのほか印象的だったのは、ふたりめの女性レイディ・アンの80歳を過ぎての美しいたたずまいと、彼女をふくめて、建築家の死後25年もたって突然訪ねてきた息子ナサニエルと語るうち、何人もの人が涙に声をつまらせていたこと。そこから如何に彼が彼・彼女らの人生に大きなよろこびを与え、同時にまた酷く振る舞ったか、そしてそれを両方受け入れさせてしまった才能と人柄のインパクトが如何に強かったのかが、伺い知られるのでありました。(父とナサニエルの最後のツーショット。セーター可愛い)。
by calico5 | 2008-11-29 02:07 | 本・映画・展覧会
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