月兎社のモト
by calico5
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熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_14594842.jpg
熱海に行ってきました。ちょっと道を間違えて、夕方さいごに立ち寄り湯で〆ようと楽しみにしていた100年間ひとつの家族で屋号を守っている福島屋旅館さんにいきなり到達。玄関先にご主人がいらしたので、この時間なら男湯にお客さんいないかも!とつい欲がでて「あの、タイルみせていただけませんか?」とお願いしてみたところ、快く見せてくださいました。
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_15124813.jpg
そう、この不思議なモザイクタイルの組み方!写真で見て、これは既製品じゃないかも~!と思っていたのですが、やはり見たこともない組み方でした。…ここ2年ほど、岐阜県笠原町が昭和30~40年代に生産していた7.5ミリモザイクタイルを組んだ「組タイル」や「タイル画」というのを追って歩いているのですが、全国のお風呂屋さんや旅館などのタイルはふつう、建材屋さんがカタログを持っていて、そこから熱帯魚、とか、湖畔のお城とか、あるいは組み模様とか選んで発注するのです。
でもこの福島屋旅館さんのタイルは、タイル画でもないし模様組タイルでもない。何より、この曲線感覚は、タイル業界のヒトは絶対やらない、と思いました。タイル界のひとは、グリットじゃないと生理的にだめなのだ!(…たぶん!)。
…後日、笠原町のモザイク浪漫館館長の安藤さん(タイルお師匠さま…)に写真を見ていただいたところ、「これは施主さんが、じぶんで用意した下絵に基づいて組んで出荷したものだねえ。でも、とてもうまく連続模様になっているし、色合いがとてもいい。並みのひとじゃないですね」とのことでした。…うんうん、抹茶色、藤鼠色、薄柿色、利休色と、上品な和風のようでありながら、白いペンキ塗りの木材とあわさると、ヨーロッパのアールヌーヴォーふうでもあり。いずれにせよ軽やかで優しいタイル壁です。…男湯なのが、ちょっと残念!(笑)。女湯はスタンダードな直線系なのです。
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_15461725.jpg
ご主人の松尾光貴さんが、タイルを張り替えた当時のアルバムを見せてくださいました。…このアルバムが…!しょうじき、タイルと同じくらい興味ある!…松尾さんのお父さん=先代さんの趣味が写真で、暗室もあったとか。モデルの子どもたち(つまり現ご主人たち)の可愛らしさ、昭和の子どもの生活が、いっぱいのアルバム。写真一枚一枚の構図もアルバム頁のレイアウトも、ひとつひとつ書き込まれたお子さんへの愛情いっぱいのキャプションも…ただものではない~、のんしゃらんですっきりしていて朗らか…やはりこのお父さんが、あのタイルの下絵をご用意なさったんだなあと思いました。
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_16343225.jpg
「散歩の達人」2013年7月号「箱根vs熱海」特集号(この号はとってもおもしろいです!)のご主人松尾さんのインタビュー。「最近は”レトロな雰囲気がいい”なんてほめられることもあるけど、単に建て替えるタイミングを逸しただけなんだよなぁ…」と。
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_16323265.jpg
と、おっしゃりつつ、はがれた時の補修用に森永キャラメルの紙箱にいれて取ってあったタイルを出してきてくださって、「レトロって、なんでこんなに惹かれるひとがいるのか、昭和の物の作りにあって、今の物にはないものって何だろうって、わかんないうちは、ないがしろにできないよねえ」と。
…タイルの残っている建物~銭湯や旅館や映画館や魚屋さん~の写真を撮らせてもらって歩いていると、現ご当主たちの、ご両親への深い愛情を感じます。親が一生懸命働いて、工夫をこらして建てたものに、何を付けたり足したりする必要があるのか、ましてや壊して建て直す必要があるのか。そしてその工事を請け負った大工さんの腕も、使った木材も、貼った陶製タイルの品質も、貼ったタイル職人の腕も、「いまじゃこんなものは作れない」というレベルなのです。…これってなんなんだろう。昭和前半の豊かさと、わたしたちのこの貧しさはなんなんだろう…。そして、気負うでもなくごく自然に昭和30年代の笠原タイルとともに暮らす家族は、とつぜん訪ねてきて2時間ほど写真を撮っていくわたしに、はっとするような、洞察力とあたたかみのある言葉を投げかけてくれるのです。…はじめ建物だけ撮っていたじぶんが、だんだんタイルとタイルの家のひとをいっしょに撮るのが好きになり、帰ってから何度も見返すのは、笑顔の写真だったりするようになりました。
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お風呂だけでなくあちらこちらに昭和タイルが用いられ、木や漆喰壁も昭和のデイテールにみちた福島屋旅館さん、HPは[コチラ]です。大正昭和の熱海写真や
レトログッズ・コレクションもたくさん。
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_17402394.jpg
熱海はもうすぐ「こがし祭り」[LINK]!行きたいなあ!神社の納札・千社札づくりにも堪能なご主人の書き文字でつくった町内のはっぴかっこいい!
熱海、昭和ないちにち。その1)福島屋旅館さん。_d0015006_1746579.jpg
…と、行きに写真を撮らせていただき、帰りにお風呂をいただいた福島屋旅館さんでした。ありがとうございました!…その2)「起雲閣の泰山タイル」につづく~。
by calico5 | 2014-06-16 17:49 | ぶらぶら
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